木村 松雄

  • Professor(教授)英語教育学

『遊びと人間』ロジェ・カイヨワ(岩波書店)、『生きがいについて』神谷美恵子(みすず書房)

 前者は「言語学演習」(故 勇康雄先生)のテキスト。後者は悩み多き学生時代、渋谷書店の本棚で偶然目に留まり引き付けられるようにして購入してしまった本である。さて、ホイジンガは『ホモ・ルーデンス』で遊びを初めて定義したが、カイヨワはそれをさらに精密化し、遊びの本質として、以下の6つの性格を抽出し た。(1)自由な活動 (2)分離した活動 (3)不確定な活動 (4)非生産的な活動 (5)ルールのある活動 (6)虚構的活動。しかしこれだけではよく解らないし自分との社会的接点が見当たらない。困った。そんな折り、偶然にも『生きがいについて』に巡り合い、遊びの諸特性と生きがいの諸特性が実はその根幹において酷似していることに気づいた。神谷美恵子氏は生きがいの特徴を奇しくも以下の6点に集約している。(1)生きがいというものは人に「生存充実感」を与える (2)生きがいは生活をいとなんで行く上の実利実益とは必ずしも関係がない (3)生きがい活動は「やりたいからやる」という自発性を持つ (4)生きがいというものは全く個性的なものである (5)生きがいはそれを持つひとつの価値体系をつくる (6)生きがいはそのなかでのびのびと生きていけるような、そのひと独自の心の世界をつくる。

 上記2冊の本が私に与えた示唆は、心から遊べる人間に成長すること、そしてそのために本然の欲求に従い、本当に自分のやりたいと思う仕事をすることである。是非一読を勧めたい。