Who is Kohei Saito ?
サイトーコーヘー
齊藤 弘平 born on September 21, 1978, raised in Otaru City, Hokkaido
1978年9月21日生、北海道小樽市育ち
青山学院大学文学部 英米文学科 准教授
associate professor, Department of English, Aoyama Gakuin University
博士(文学)、アメリカ文学、アメリカ研究、批評理論
Ph.D (literature), American literature and American studies, critical theory
研究課題:初期心理学と19世紀文学の知識史的関係、現代アメリカ文化における心の病や障がいの表象、アメリカにおけるポピュラーミュージックの歴史、など
research interests: intellectual relation between early psychology and 19th-century literature; representations of mental illness and disability in modern American culture; history of American popular music, etc.
contact: Aoyama Gakuin University, 4-4-25, Shibuya, Tokyo 150-8366, Japan
e-mail: koheisto/atmark/cl.aoyama.ac.jp
学生諸君へのメッセージ
「スティーブンは、スティーブの過去分詞」というジョークがあります。大学の英米文学科において、より学究的に英語を学ぼうとしはじめている皆さんなら、このジョークに笑えることでしょう。不規則活用をする英語の動詞の多くが、語尾において “-en” という形態になることを前提として知っているからであり、そもそもスティーブという固有名詞は分詞へと変化しないという理屈だって、皆さんがきちんと知っているからです。その「知」の前提を逸脱した発言や行動に対して、それを共有している人々は、可笑しさを覚えたり、時には(実に嫌なことですが)侮蔑を向けたりするわけです。
大学で学ぶ時間は、「知」の前提の種類を新たにどんどんと増やす最良の機会であるのみならず、今まで自分でわかったつもりになっているいくつかの前提について、その地平をさらに遠くまで拡大したり、あるいは根底から疑ってみたりすることが許される(と言うかむしろ歓迎される)、冒険の時間でもあります。振り返れば、北海道の田舎から上京し大学に入学した頃、私は次々と襲来する新奇な「知」にいつも興奮していました。「豚汁」を「ぶたじる」じゃなくて「とんじる」と読む人のほうが多いという事実を知ることも、「時間とは、空間的に分割し測定できるものではない」という20世紀フランス哲学のテーゼに触れることも、当時の私が有していた「知」の前提を揺さぶり、変容させ、増殖させたという点では同様で、かけがえのない冒険の一部になっています。
現在の私は、主に19-20世紀のアメリカ小説と知識史を対象とし、いかにして美や価値、生と性、自己と他者等々を巡る近代的な「知」の前提が生産されたり、共有されたり、放棄されたり、復活したりするのか?を研究しています。学生の皆さんと共に学んでいく過程で、新しい「知」の前提を創出し、共有できたら、この上ない喜びです。野球(観戦)やポピュラー音楽全般の大ファンでもあります。 (2014年度)