いつも作っている、そのわりにはこのHPでは特に発表していなかったキッチン・サイトーの定番メニューとして、クローブをふんだんに入れる(まずはホールを炒る、それから出来上がり直前でパウダーを投入する)チキンカレーというものがあります。
所属先、出講先の大学も、ひとまずしばらくはオンライン(遠隔)授業とすることが決定され、さまざまなキャンパスやら教室やら(レコード屋やら本屋やら)に足を運ぶことができないのは、それはそれはわたしのように多動症的な人間にはつらいのですが、 “start the revolution from my bedroom” という懐かしいスローガンを引っ張り出し(これは90年代半ば、ベッドルームでも制作できるテクノ音楽が、世界的なプレゼンスと音楽史の系譜における批評的な意義を持ちはじめた頃によく言われていたものです。20年はふた昔、ですね)、料理、授業準備、そして何よりも終わらない在宅勤務(涙)に、すべての創作意欲を注ぎ込む毎日です。
カレーに対しても、オンライン(遠隔)授業に対しても、決して手は抜きません。抜けているように見えたなら、それはわたしの頭が抜けているだけです。いつか学生のみんなに激辛カレーをふるまえる日を目標として、頑張っていきたいと思います。
肝心のこの日のカレーは、ややクローブが多すぎた感があり、スパイスカレー作りの最大の敵である苦味がぼんやりといたしました。そこでケチャップを投入します、甘みと酸味にちょうど良い中和効果があります。都内の有名店などでも、ケチャップで味を整えている店は、結構多いと思います(当方調べ)。ケチャップを発明した人の才気、ワクチンを開発する人の勤勉、いろいろな方角へと敬意が飛んでいく2020年4月、キッチンでの夜でした。